さて今回は、先日のブログで紹介した、漏電対策&更なる利便性向上のための、「屋内電気配線引き直し」の続編をお送りいたします!
おおよその設計を終え、早速施工に着手することにした私たち。
まずは、メインブレーカから建屋各地に幹線を敷設しいく作業から、やっていくことにした、のですが・・・
【配線の前に・・・】
当時のブレーカ周辺の様子がこんな感じ。
配線の前に、エアコンの配管(ペアコイル)の固定や、壁の仕上げなどをしといたほうがよさそうですね・・・。配線施工後にやると、いろいろ出戻りが起きそうですし。
ブレーカ周辺の壁には漆喰が塗られています。周辺の白い壁とデザインを統一したいところですが、壁を一旦壊すのは骨が折れる作業なのでやりたくない。。。そこで!
漆喰の壁に直接石膏ボードパテを塗りたくる!
試し塗りしたものがこちら。
平滑に仕上げるのにはそこそこの技術が要求されますが、想像していたよりは上手くいきそう。
この調子で、周囲の壁全面に塗りたくっていきます!
このときに多少凹凸ができても、乾燥させた後にヤスリで削ればよいので問題ありません!(大変だけども・・・)
乾燥後、ヤスリがけ、塗装を施し完成したのがこちら!
遠目で見ると何の違和感もない!
(写真がぶれぶれ過ぎるけど・・・)
この後、エアコンの配管も専用のダクトに収めて固定しました。
【PF管施工の基礎知識】
先日の記事で説明した通り、今回は露出配線で、配線はPF管と呼ばれる柔らかい樹脂の電線管に通して配線していきます。手で簡単に曲げることができ、電工ナイフで簡単に切断ができる優れものです。
今回使うのは内径φ22。様々な径が販売されてますが、接続用の各種パーツの充実度を考えると、φ16かφ22のどちらかを選択するのが賢明と考えました。
電線管に通せる配線の本数・太さの目安は、主に通線のしやすさに基づき、以下のように決められています。
- 絶縁電線(バラ線)の場合は、内線規定3115-4節に記載の表に従います(参考:未来工業の施工要領)。
- ケーブル(複数の絶縁電線を保護被覆でまとめたもの)の場合は、電線管の内径がケーブルの仕上外径の1.5倍以上とします。ただし短く曲げが少ない箇所で、配線の交換が容易な場合には、1.5倍未満でもよいとされています(内線規程3165節-1① [注1])。
より詳細な情報は、例えば以下のリンクが参考になります(計算ツールまであります!)
今回使用するのはVVFケーブルです(「ケーブル」については以前の記事でも説明しました!)。PF管は露出した状態で固定するので、配線の交換が容易であると考え、上記の「1.5倍未満でも良い」こととしました。
とはいえ配線を通せないと困りますので、事前に実験をしました。φ22、約5mのまっすぐなPF管に、今回主に使用するVVFケーブル(2芯・導体φ2.0mm)を通したところ、
- 無理なく通せるのは2本まで
- 強引に通そうとしても3本が限界
ということがわかったので、1本のPF管に通すケーブルは原則2本まで、どうしても仕方がない場合のみ3本ということにしました。
PF管を壁面に固定する際には、専用の「サドル」と呼ばれる固定具を使います。片サドル、両サドル、台付きサドル、連結サドルなど、様々な種類があり、その場の状況に応じて上手く使い分けていきます。1.5m以内の間隔で固定します(電技解釈第158条の3 三)。
サドルの例。ガレージで主に使用しているものです。
サドルには様々な種類があり、①固定する場所 ②固定のしやすさ ③取り外しの要否 ④管の屈曲によるモーメント荷重の有無 などの条件によって適切なものを選びます。
また、配管を曲げて固定する場合には、一部例外を除いて曲げ半径を配管内径の6倍以上とすることと決められていています(内線規定3115-5節2④および3110-8節1)。
PF管の中で配線を継いだり分岐したりするのはご法度ですので(電技解釈第158条 三)。継いだり分岐したい箇所には、ご覧のジャンクションボックスを設置します。PF管を繋ぎたい箇所のノック穴を叩き割り、専用のコネクタを繋ぐと、簡単にPF管を接続することができます。
コネクタへのPF管接続は簡単!よく用いられるGタイプのコネクタの場合は、PF管を差し込み、先端を回すだけです。(回すときに少々力が要りますが)
【メインブレーカ近傍からスタート!】
早速ブレーカ周辺から施工開始!ブレーカから引き出される幹線(全14系統!)を図中赤矢印の方向にまとめて引き回します。施工は困難と工夫の連続です。
狭いスペースに14本のケーブルを通すため、5本のPF管を並行して敷設し、3・3・3・3・2系統に分けて通すことにしました。1本のPF管に3本通すのは辛いが致し方ない・・・。5本のPF管を隙間なく這わせるため、固定には台付きサドルを使います。こちら、壁面にビス止めした後、ビスを外さずにPF管を着脱できるので、施工の上でも便利です。
ブレーカ真下に設けたこちらのボックスにも工夫が一つ。すぐ左脇に壁があるので、接続したPF管をすぐにものすごく急な角度で曲げる必要が・・・。
それを回避するため、45度曲がりのボックスコネクタという飛び道具を使いうまーく回避!
図解するとこんな感じ。
そんなこんなで、
反対側の壁面に取り付けたボックスまで、配管を伸ばす。
これを何回も繰り返して・・・
ここまできた!
(PF管が付いていないサドルの部分は、あとで使います)
PF管の長さが決まったところで、一旦PF管を取り外し、ケーブルを通線していきます。台付きサドルなので、簡単に外せます!
ケーブルは、PF管の長さ+両端150mm程度ずつ余長が出るように切りそろえます。
大量に配線を切断し、荒れまくった様子(笑)
最初はこれを手でひたすら押し込んでいたのですが、きつくてきつくて・・・体力が尽きかけてしまいました。そこで用意したのがこちら!
「通線ワイヤー」
これをPF管に通し、通した先でケーブルをくくりつけ、最後にワイヤーを引き抜けば簡単通線!当然ですが、柔軟な物体は押すより引いた方が動かしやすいものです。
ひたすらに作業を繰り返し、ついに・・・
ここまで完了!
1本のPF管に複数本のケーブルを通す際には、どれがどれとつながっているのかわからなくなるので、あらかじめ両端にマーキングをしておくと良いと思います。また各PF管にはそれぞれ、アース線も仕込んでおきました。前回の記事で宣言した通り、すべてのコンセントにアース端子をつけるためです!後日この配線を、メインブレーカから引き出した配線と順次接続していきます!
と、ここまでの作業を苦労して終えた私たちは気づきます。
まだ、建屋全体のほんのわずかしか終わってないじゃないか!!
途方も無い作業は、まだまだ続くのです。記事が長くなりすぎてしまうので、この続きは次回!
(サンドマン)
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