日本人はどうして、年末や年度末に締め切りを設定しがちなのでしょうか。
どうも。年末までにやらねばならないことが目白押しです。サンドマンです。
Twitterを見ている方はご存知かもしれませんが、現在僕らのガレージではMr.H氏を中心として、「エグゾーストキャノン」なるものの開発に取り組んでおります!
今回はその完成に先立ち、おおよその雰囲気や現在の進捗状況について、現場からゆるーくレポートしたいと思います!
【エグゾーストキャノンって何?】
そもそもここから説明しないといけないですね。エグゾーストキャノンは平たく言うと空気砲。といっても、で●んじろう先生が段ボールで作る空気砲のようなライトなものではなく、「圧縮空気を衝撃波とともに瞬間的に開放する、極めて強力な空気砲」で、超絶パワフルな代物です。その威力は、こちらの動画(巴波重工さんで開発されたエグゾーストキャノン)をご覧ください!
より詳細な情報や具体的なメカニズムは、巴波重工さんのHPをご覧ください。(今回の記事では割愛します。)
僕らのガレージでエグゾーストキャノンの製作をするに至ったきっかけは、巴波重工のyαsυさんの呼びかけによる企画「エグゾーストキャノン開発祭2022」。
■エグゾーストキャノン開発祭2022
— yαsυ l 巴波重工 (@Shyasuna) October 31, 2021
来年はアリエナイ理科ノ工作発刊15周年の節目の年。それに際し、勝手にエグゾーストキャノン開発祭をやりましょう。
年内に作って来年1/8の19:00から完成報告を各位自慢!それまでの製作過程の写真や動画もガンガン投稿!#エグゾーストキャノン のタグを忘れずに! https://t.co/CXVScUMtTx pic.twitter.com/xQSplAq8il
このTwitter投稿にも記載の通り、ポイントはご覧の通り。
- 2021年内にエグゾーストキャノンを製作する
- 2022/01/08(土)19:00から、各自Twitterで製作したエグゾーストキャノンを自慢!
- 唯一のレギュレーションは「安全第一」
よっしゃ!僕らのガレージの技術と叡智と結集して、最高のキャノンを製造し、大晦日に除夜の鐘を高らかに鳴らしてみようじゃないの!ということで参戦を決意したわけであります。
【設計は慎重に】
Mr.H氏、早速お得意のFusion360を使って設計に着手です!
断面図です。なかなか複雑な構造だ!
長く伸びる円筒が圧縮空気が飛び出すバレル(砲身)です。断面図なので全数見えていませんが、全部で6本搭載されます。よく見ると右側に2つほどベアリング(軸受)が見えますね。どうやらこれらの砲身自体がガトリングのごとく回転する仕組みのようです!回転数は2000rpm(1秒間に約33回転)ほどを予定しているようで。なかなかの迫力。
右側の部分を拡大した図がこちら。
ベアリングや、圧縮空気をコントロールするバルブ類が緻密にデザインされています。Mr.H氏、本職でも高圧力、超高速回転を扱う機械設計をしているようで、このあたりは慣れたもののようです。
当然ながら、設計はただのお絵かきではございません。特に今回のエグゾーストキャノンは高エネルギーを取り扱いますので、安全性を確保するためのきちんとした「設計計算」が必要です。ぱっと思いつくだけでも、
- ベアリングに加わる回転荷重の計算(壊れずに回せるか?)
- 構造の耐圧計算(空気圧で部品が爆発したら危ない!)
- ロータダイナミクス解析(高速回転体の振動を舐めてはいけない!)
などを考慮しなくてはいけません。設計には、正しい知識と経験が要求されます・・・。
機構の詳細、設計計算結果やこだわりポイントについては、後日Mr.H氏に思う存分解説していただくことといたしましょう!
【続々部材が到着!】
設計と同時並行し、製作に必要な材料や機材を次々と揃えていきます!
アルミのパイプやらブロックやらが続々と到着。
見た目だとスケール感がわかりづらいのですが、写真上側にのアルミパイプ、長さが1m近くあります。6本で合計9kgほど。人の手で持つには重すぎる代物です。まあ、「キャノン」というのは、そもそも重量とサイズが大きい大砲の一種を指す言葉ですから、むしろ手で持てない重さの方が自然なのさ。
そしてこちらがバレルを収める部分に使うアルミの塊。
ここから削り出すんですね・・・なかなかの大作の予感。
使うベアリングもデカイデカイ。(右のスマホのサイズと比較すれば分かるはず。)
これらが組みつく軸や穴を高精度に加工するの、趣味の範疇ではかなりチャレンジングだと思います!
こちらは圧縮空気を溜め込むためのチャンバー。
使う空気量がバカにならないので、結構な容量が必要なようです。果たしてこのサイズでも十分かどうか・・・
そんなこんなで部材が揃ったら、部品の加工を進めていくわけですが・・・
【加工の前に、段取り段取り・・・】
いきなり材料を旋盤やフライス盤で加工!とはいかないのも、今回の難しさであります。先ほど紹介した長尺のアルミパイプを片持ちで掴んで旋盤加工しようとすると、振れ回り振動が発生するため、精度のよい加工をすることができません。それどころか、こちらの動画のような危険な目にあう恐れも・・・(先ほどもロータダイナミクスを舐めてはいかんと言いましたね笑)
そこで、旋盤に振れ止め治具をセットします。こんなごっつい奴をヤフオクで入手し、旋盤にセットしました。が・・・
赤矢印の部分、隙間が空いている・・・
つまり、旋盤と中心が合っていない・・・!
なんと、振れ止め治具自体を改造する必要が出てきました。あちゃー・・・
そうです。旋盤を横フライスにチャックして削るんです。
えー?そこからー?
巨大な鉄塊を、手持ちの旋盤にフィットするよう、慎重な加工を続けていきます・・・
長きに渡る格闘の結果・・・
ようやく旋盤にフィットしました。
刃物台との干渉回避も考慮されているようです。
なかなかの大作・・・
用意すべき治具はこれだけではありません。今回、パイプの外径部分におねじを切るのですが、そのサイズはなんとM35。当然ながらM35のナットなど用意しておりませんので、正しくおねじの加工ができたか確認するための、ねじゲージ(的なもの)を自作します!
アルミの円筒に下穴を開けて・・・
これまた巨大なタップでネジ切り。
このサイズになると、1本でも結構いいお値段するらしいです・・・
用意していたタップハンドルがなぜかうまくはまらず、スパナで回していく不安定なスタイルに・・・(怖い怖い)
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