さて、本格的な電気工事を始めよう。
まずはソーラーパネルとチャージコントローラ間を繋ぐ送電線の敷設だ!
どうも、手先が不器用なのが悩みです。サンドマンです。
今回は、ただいま連載中の太陽光発電企画。今回はシステム構築に向けた電気配線ネタとなります!なお、作業には電気工事士の資格を要する部分があります。(詳細は前回の記事参照。)真似される際は十分ご注意ください。
(前回までの記事はこちら)
【送電線敷設計画】
ガレージにオフグリッドソーラー発電システムを常設するため、いよいよ配線の敷設を始めることにしました。
まずは全体計画のおさらいです。(全体構成についてはこちらの記事をどうぞ)
ありとあらゆる配線を引く必要がありますが、今回のターゲットは、上図中の赤い線。屋上のソーラーパネルから1Fのバッテリー置き場まで、長い電線を敷設します。
屋上にソーラーパネルを置くのは言わずもがな。では、なぜ1Fにバッテリーを置くのか。この理由は単純明快で、バッテリーが重いからです。鉛蓄電池にはその名の通り、鉛が入っています。鉛の比重は常用する金属の中ではトップクラスです。容量大きめの電池を屋上まであげると腰が壊れる・・・(泣)
また、1Fにはバッテリーを置くのに良さげなスペースがあったのです・・・!
シャワールーム!
ここ、壁も床もコンクリートが塗られていて、万が一火花が飛びとったとしても燃え広がるリスクが低い。上に窓も付いているので、万が一バッテリーから水素が発生しても逃がすことができ爆発のリスクも下がる(これについてはまた後日)。バッテリーを置く場所として好適と考えたわけです!
我々はこのスペースを通称「バッテリールーム」と呼称するようになりました。
もちろん、屋上からここまでの配線が長くなり、送電ロスが大きくなるデメリットは承知の上です。この手の選択はあらゆるトレードオフの中で、選択を繰り返すものですよね。
【まずは電気配線の基礎知識を】
最初に基本知識として、電気配線の種類を整理します。
電気配線に使ういわゆる「電線」には、大きく分けて①裸電線、②絶縁電線、③ケーブル、④コード の4種類があります。
①裸電線
②絶縁電線
③ケーブル(写真はVVFケーブル)
④コード
①裸電線は、電気が流れている状態で触れると感電のリスク大ですから、鉄塔の超高圧配線など人の手に触れない箇所の配線や、接地(アース)用の配線など、限られた用途にしか用いられません。
②絶縁電線は、裸電線に絶縁被覆を被せたものです。屋内配線では、古い家屋でよく見かける「がいし引き配線」や、電線管や金属線ぴなどの管・ダクトに収めて配線することが一般的です。
③ケーブルは、1本ないし複数の絶縁電線の上から、さらに被覆(シース)を被せた構造のものです。現在の屋内配線では最も多く使われています。天井裏に転がして配線したり、建物の柱や天井に直接固定して配線できます。もちろん②と同様の使い方をしてもOKです。
④コードは、私たちが家電を使うときにコンセントに差す線そのものです。つくりは③ケーブルと酷似していますが、別物ですので注意。コードは適宜移動して使ってもOKですが、ケーブルは固定する(基本、設置したら動かさない)ことが大原則です。(例外:キャブタイヤケーブルは固定・移動配線どちらに使ってもOK。)
【配線の種類を選ぼう!】
さて、今回の配線では、屋外部分(屋上ソーラーパネル設置箇所〜屋内に引き込むまで)と、屋内部分(屋内に引き込んだ後〜バッテリールームまで)で、2種類の配線を使い分けます。
重要なポイントは2点。
①防水性・耐候性
屋外に露出した状態で配線する場合には、ケーブル外装の材質が防水性・耐候性を持っているかが重要な選定ポイントになります。(なお、ケーブルの種類別の特徴は、こちらのページ[1]に詳細にまとめられています。)
屋外に露出した状態で配線する場合には、ケーブル外装の材質が防水性・耐候性を持っているかが重要な選定ポイントになります。(なお、ケーブルの種類別の特徴は、こちらのページ[1]に詳細にまとめられています。)
屋外配線へのおすすめは、CVケーブル(600V架橋ポリエチレン絶縁ビニル外装ケーブル)です。他のケーブルに比べ、直射日光によるシースの劣化や、内部への水の浸透のリスクが少なく、ショートの危険性を抑えることができます。
②許容電流
電線の種類や心線(≒内部の導線)の数・太さによって、流しても良い電流の量(許容電流)が決められています。
心線が細ければ細いほど、電気の流れる部分の断面積が減るわけですから、電気抵抗が増加します(抵抗は、断面積に反比例しますね)。抵抗が大きくなると、発熱量が大きくなります。発熱量が多すぎると温度が上昇して、最悪ケーブルの劣化や溶けが発生し、ショートの原因となります。
また同じ種類のケーブルでも、心線の数や、敷設する場所、一緒に敷設するケーブルの本数などにより、許容電流が減っていきます。複数の熱源が密着している場合には、ますます温度が上がりやすくなりますからです。
選定時には、許容電流を必ず確認しましょう!
というわけで今回は、次のように選定しました!
屋外部分
先日の試接続の記事でも使用した、MC4コネクタ付きケーブルを使うことにしました。ケーブルは(600V)CVケーブルです。(屋外でのソーラーパネルとの接続を想定しているでしょうから、大概CVケーブルになっていると思われます。)
許容電流は、心線の太さが3.5sq(心線がより線の場合の、合計断面積。3.5mm^2のことをそのように書きます)です。今回は単心ケーブルを+と-の2本、電線管(詳細は後述)に納めて使う予定です。許容電流はこちらの技術資料[2]を参考に、31Aと読み取りました(※)。今回流れる電流の最大値は、チャージコントローラ選定の記事で書いた通り、18.51Aですので、問題なさそうです。
(※)使用条件は、「電線管敷設、単心・2条(2本並べて敷設)」ですが、資料には同一条件の記載がないので、「電線管敷設、2心・1条」の条件とほぼ同等とみなしました。
屋内部分
次に、屋内部分。配線の全長がとても長いので、送電ロスの懸念があります。また、将来的に発電能力を増強した際に、配線の太さを変えるために交換する手間も相当かかります。
そこで今回は、心線の太さをかなり太めに設定し、16sq・2心のCVケーブルとしました。これを1本、電線管(詳細は後述)に納めて使用することを想定しているので、先ほどと同様、こちらの技術資料[2]を参考に、許容電流を70Aと読み取りました。先ほど同様、流れる電流の最大値は18.51Aですので十分余裕があります。また、将来の発電能力増強も可能です(少なくとも、今回購入したチャージコントローラの電流上限:60Aまでは対応できる)。
【配線の設置方法を決めよう!】
しかしながら、配線を直接壁に付けるの、かっこ悪くない?となったわけで、今回は電線管(電線を収めるパイプのようなもの)を使うことにしました。電線管にも色々種類があるのですが、今回は自由に曲げたり切ったりしやすいPF管(合成樹脂可とう電線管)を使うことにしました。(だったら配線は絶縁電線でも良かったわけですが・・・)
(電線管の種類については、こちらのページ[4]をご参考にしてください。)
PF管の参考画像です。(写真は他用途に購入したもの)
コラム:PF管とCD管は似て非なるもの!!
ちょっとここで注意喚起も兼ねてコラムを一つ。お店では自由に曲げたり切ったりできる電線管としてPF管とCD管の2種類が売られています。
左:PF管、右:CD管
この2つは似て非なるものです。大きな違いは、自己消火性の有無です。(要は、燃えやすいか燃えにくいか。)PF管は燃えにくく、CD管は燃えやすいです。このため、CD管は、コンクリート埋設用に用途が限定されています。屋内壁面取り付け用に、安いからといってCD管を買わないように!!!
なお、CD管はオレンジ、PF管はベージュ(またはグレー)のものが多く出回っています。
・・・本題に戻ります。
あとはPF管のサイズと色を決めます。
まずサイズについて。管に配線をぎゅうぎゅうに詰めてしまうと、施工性もメンテ性も悪いですよね。そこで、中に通す配線のサイズや本数によって、どのくらいの管を使うかが決められています(主に内線規定で決まっているようです。こちらの資料[5]が参考になるかも)。
具体的には、こちらのページ[6]に記載の表から読み取り(CV-2C、14sq)、内径28mmのものとしました。
まずサイズについて。管に配線をぎゅうぎゅうに詰めてしまうと、施工性もメンテ性も悪いですよね。そこで、中に通す配線のサイズや本数によって、どのくらいの管を使うかが決められています(主に内線規定で決まっているようです。こちらの資料[5]が参考になるかも)。
具体的には、こちらのページ[6]に記載の表から読み取り(CV-2C、14sq)、内径28mmのものとしました。
あとは色。これはセンスで決めますよ。ホームセンターではなかなか見かけないですが、今回はグレーを使うことにしました。
というわけで28mmのグレーのPF管と、取り付け部材諸々を準備しました!
(下のリンク、アマゾンでグレーのものがなかったので、色違い載せてます笑)
というわけで、ここまで、ソーラーパネルからチャージコントローラまでの配線設計について書かせていただきました。だいぶ長くなっちゃいました。ごめんなさい。というわけで28mmのグレーのPF管と、取り付け部材諸々を準備しました!
(下のリンク、アマゾンでグレーのものがなかったので、色違い載せてます笑)
長くなってしまったので、実際に施工した様子の報告は、次回といたします。ご期待ください!
【参考Webサイト】
[1]電気設備の知識と技術 電線・ケーブルの種類と特徴・規格https://electric-facilities.jp/denki6.html
[2]昭和電線ケーブルシステム株式会社 技術資料 許容電流(PDF)
https://www.swcc.co.jp/cs/products/tec_information/pdf/kyoyou.pdf
[3]電気の資格とお勉強 ケーブル工事
https://eleking.net/k21/k21c/k21c-cablework.html
[4]モノタロウ 電線管の種類と特徴
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/densenkan_type/
[5]通信興業株式会社 TSUKO ニュースレター No.26 配管に対するケーブルの収容率
https://www.tsuko.co.jp/pdf_key/no26_keyword.pdf
[6]電気工事のwebbook 合成樹脂可とう電線管(PF管)及びCD管の太さの選定
https://electricwork.biz/合成樹脂可とう管(pf管)及びcd管の太さの選定/
(サンドマン)
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