オフグリッドソーラー発電システムの配線作業は、つまるところ電気工事。
その作業、無資格でやっても大丈夫ですか??
どうも、勢い余って第二種電気工事士を取得してしまいました。サンドマンです。
さて、今回は太陽光発電の記事。ここまでシステム構成とソーラーパネル・チャージコントローラ選定に関するお話などをしてきましたが、この先の話を進めるにあたって、避けては通れないのが今回のテーマです。(過去の太陽光発電記事はこちらをどうぞ!)
【電気工事士って、ご存知?】
電気工事(電気配線や、電気機器の取り付けなど)を誤った方法で行うと、感電や火災のリスクが高まります。このため、世の中の大抵の電気工事は、専門的な知識・技術を持ち、電気工事士の資格を有する人だけが従事することができるのです。ちなみに、資格が必要な電気工事を無資格者がやると、「3万円以下の罰金、または3カ月以下の懲役」(電気工事士法)に処せられます。有罪です。電気工事士には、第一種と第二種の2つのカテゴリーがあり、第二種を取得しておけば大抵の宅内配線作業ができるようになります。私は冒頭で書いた通り、第二種電気工事士を取得しました。試験は筆記と技能の2段階あります。受験の記録を別途ブログにアップしておりますので、ぜひご覧ください!
【電気工事士の資格が不要な作業とは?】
ここで疑問を持たれる方がいるかもしれません。「趣味の電子工作とかもやっちゃダメなの?」「電球の交換は?」「仕事で制御盤内配線少しいじるんだけどこれは?」などなど。
もちろん、無資格でどこまで作業できるのか、線引きが決まっています。
まず、有資格者でないと作業できないのは、電気工事士法施行規則第二条一によれば、以下の通りです。(解釈大変なので、赤字で補足をします。)
- 電線相互を接続する作業(電気さく(定格一次電圧三百ボルト以下であつて感電により人体に危害を及ぼすおそれがないように出力電流を制限することができる電気さく用電源装置から電気を供給されるものに限る。以下同じ。)の電線を接続するものを除く。)
→「電線同士を繋ぐ」ための作業は基本的に資格が必要。 - がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。ハ、ニ及びチにおいて同じ。)を取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
→電線を屋内に這わすための各種作業は基本的に資格が必要。 - 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
- 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
- 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
- 電線、電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
- 金属製の電線管、線樋ぴ、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
- 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
→配線器具や配電盤の取り付け作業全般は、基本的に資格が必要。(露出型コンセントとかは例外。) - 接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
- 電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
→この辺は自分でなかなかやりませんよね。
つまりは、基本的に電線の接続や宅内の這い回し、配線器具の取り付けには資格が必要、ということになります。(つまり大体アウトじゃんねぇ・・・)
ただしこのうち、電気工事士でなくてもできる「軽微な工事」として、電気工事士法施行令第一条に、以下のように記載があります。
- 電圧六百ボルト以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧六百ボルト以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧六百ボルト以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧六百ボルト以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
→配線器具への配線接続や、電気機器への配線ねじ止めはOK - 電圧六百ボルト以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
→電力量計やヒューズの設置はOK - 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が三十六ボルト以下のものに限る。)の二次側の配線工事
→36V以下の系統の配線工事ならOK - 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
- 地中電線用の暗渠きよ又は管を設置し、又は変更する工事
→この辺は上記の通りお読みとりください
また、電気工事士は「一般用電気工作物」(電気を使う器具や配線の総称)の工事に従事できますが、電気事業法施行令第一条三によれば、以下は一般用電気工作物の範囲から外れており、無資格でも取り扱えます。
電圧三十ボルト未満の電気的設備であつて、電圧三十ボルト以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの長くなりました。すみません。
つまり、冒頭の疑問に答えますと、
「趣味の電子工作」→30V超えなければ資格なしでOKです
「電球交換」→資格なしでOKです
「制御盤内配線」→大体の作業はOKです。(ただし、業務で実施する場合には、労働安全上の決まりとして、「低圧電気取扱業務特別教育」を受講する必要はあります)
【オフグリッドソーラーの作業で注意すべき点は?】
さて、以上を踏まえて。オフグリッドソーラー発電のシステムを組む際に、電気工事士資格が必要かどうかですが、
電線に30Vを超える電圧が掛かるか
「じゃあ、24V系統ならOKだよね!」という声が聞こえてきそうですが、注意が必要です。ソーラーパネルの開放電圧(最大電圧)を確認してください。例えば以前の記事に書いたように、私たちが構築中のシステムで使っているパネルの開放電圧は21.6V。2つ直列に繋いだら30V超えます。この場合はアウトです。12V系統であれば、パネルの種類にはよりますが、おそらく大丈夫でしょう。
同様に、バッテリーの最大電圧にも注意が必要ですが、ソーラーパネルの開放電圧よりは低くなることが一般的と思われます。
また、発電した電気をインバーターを介して交流100Vなどに変換する場合には、2次側(100Vとかに変換した側)での配線工事はアウトです。無資格の場合は、インバータについたコンセントから、家でコンセントから電気を取るのと同じようにコードをつなぎ、使いましょう。
「別に30Vを超えても、配線を機材に接続するだけならOKなんでしょ?」という声も聞こえてきそうですが、これも注意が必要です。もしシステムを常設するなら、配線を引き廻さなければいけないはずです。
「固定する作業をしなければいいんでしょう?」という一休さんばりのトンチを効かせている奴をネットで見たことがありますが(晒そうと思ったがやめます。)、この手のシステムで使う大概の配線は「ケーブル」であって、「固定することを前提としています」(ケーブルとコードは別物です※。知ってました?)。固定のしかたも標準的な方法が決められていて(電気設備技術基準の解釈[通称:電技解釈]や、内線規定など)、これを逸脱した方法の場合、万が一事故や火災があったとき、あなたが責任を問われることになります。電気工事士という資格がなぜ必要なのか、その本質を考えてくださいね。
※参考:電源コードと電源ケーブルって同じもの?(AVケーブルテクノロジーズ)
つまり、まとめると次のようになります。
常設のシステムを組むのなら、
- ソーラーパネルの開放電圧ベースで30Vを超えない範囲なら無資格で作業可能。(12V系のシステムならばおおむね大丈夫。)
- インバータの2次側(交流100V、200V側)の配線工事は資格なしでは不可。
無資格の場合、インバータ備え付けのコンセントにプラグを差し込んで使うこと。
つまり、無資格ならば12V系のシステムを作りましょうってことですね。
【いっそのこと、電気工事士取ってみませんか?】
とはいえ、電気工事士の資格がないと、作れるシステムの範囲が限られてしまいますよね。本格的にやるなら、いっそのこと資格を取ってみませんか?資格取得のための学習を通じて、安全な電気工事の手法を身に付けることができますよ。30V未満のシステムを組むのだとしても、決して無駄にはなりません。オススメです!
というわけで今回は、
「オフグリッドソーラー発電システムを組む際に、電気工事士の資格が必要か?」
についてまとめました。
僕らのガレージでは、私を含め、今回のために第二種電気工事士を取得しましたので、資格が必要な作業でも、どんどん進めていきますよ!
今回はこの辺で!
(サンドマン)
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